肺高血圧の治療
肺高血圧症ってどんな病気でしょう?肺高血圧の診断、治療から普段の生活で気をつける事についての記事です。
心臓から肺へ向かう血管を肺動脈と言います。何らかの原因で肺の血管が狭くなると、肺を通過する血液の循環が不十分になりますが、心臓は血液を十分に送ろうとするため、肺動脈の圧力が高くなります。
肺動脈の血圧が高くなる病気が肺高血圧症です。肺高血圧症を発症すると、肺への血液循環が悪くなり、肺から血液に取り込まれる酸素の量が減るために、軽い動作をするだけで、息切れや呼吸困難が現れます。
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肺高血圧症の自覚症状
肺高血圧症の初期症状は、無症状のことが多いのですが、 だんだんと、息切れ、疲労感、動悸、立ちくらみ、胸の痛み、むくみ、失神、せきなどの症状が現れてきます。
はっきりとした自覚症状がある頃には、進行した肺高血圧症になっている場合が多いのです。
進行時には肺動脈圧が高くなり、心臓に負担がかかります。肺高血圧症の治療は肺動脈圧を下げ、心臓の負担を軽減していきます。
肺高血圧症の診断
●病歴、主訴、身体所見などの問診を行います。
息切れなどの自覚症状、膠原病などの病気を持っている場合は、更に、スクリーニング検査を行います。
●スクリーニング検査 :心電図、心エコー、胸部X線
肺高血圧症が強く疑われる場合には、精密検査を行います。
●精密検査 :胸部CT、MRI,肺動脈造影、カテーテル検査
以上の検査によって、肺高血圧症の診断を確定します。
肺高血圧症の機能分類
肺高血圧症は、症状によって心機能が4つに分類されます。
・I度 :通常の身体活動では無症状
・II度 :通常の身体活動で症状発現、身体活動がやや制限される
・III度 :通常以下の身体活動で症状発現、身体活動が著しく制限される
・IV度 :どんな身体活動あるいは安静時でも症状発現
肺高血圧の治療について
肺高血圧症の治療方法としては、重症度や病態によって、内科的療法と外科的療法で治療されます。
内科的療法には酸素療法、内服薬を用いたもの、持続静注薬があり、外科的治療方法には肺移植があります。
内科的療法で処方される内服薬について
●抗凝固薬:ワルファリンなど
肺高血圧症の患者さんは血液が固まりやすい状態なので、抗凝固薬を使用することがあります。
●利尿薬:フロセミド、トリクロルメチアジド、スピロノラクトンなど
利尿薬で血液量を調節して心臓の負担をやわらげます。
●強心薬:ミルリノン、ドブタミン、ジゴキシンなど
肺の血圧上昇に伴い心不全となった心臓の収縮力を助けます。
肺高血圧の患者さんが気をつける事
肺高血圧症の患者さんは、治療は勿論、普段の生活でも気をつける事があります。
●薬
1、一度に2回分を飲むことは絶対NG。
2、薬と避けるべき食品の組み合わせは主治医や薬剤師に聞いておく。避けるべき食品は、
・グレープフルーツ(特にグレープフルーツジュース)
・ビタミンKを含む食品(納豆、青汁、クロレラ食品など)
・セント・ジョーンズ・ワート(ハーブの一種)
●お薬の副作用
肺血管拡張薬を服薬中に生じやすい副作用の症状が現れたときは、すぐに主治医に相談しましょう。
・頭痛 ・吐き気 ・顎の痛み ・下痢 ・足の裏の痛み ・皮膚の赤み ・立ちくらみ
・めまい ・血圧低下 ・むくみ
●食事
1、水分の摂り過ぎに要注意
2、塩分の摂り過ぎに要注意
●家庭での生活
1、家の中の寒暖差を少なくしましょう。
2、急に立ち上がる、腰をかがめると、急に血圧が変化する為に失神発作を起こす可能性があります。
3、呼吸が苦しい場合は、上半身を斜めに起こした姿勢で、呼吸を楽にしましょう。
●学校や仕事
主治医と相談しながら通学、通勤することは可能です。
●運動や旅行
主治医と相談し許可を得て下さい。
運動の場合はこまめな休憩を意識し、散歩などの軽めの運動から始めましょう。
●飲酒・喫煙
1、飲む際はゆっくりと控えめに飲みましょう。
2、重症の心不全の場合には禁酒が必要です。
3、お薬を服用した後に飲酒すると血圧が低下することがあるので、原則飲酒は避けましょう。
4、喫煙は呼吸機能を低下させ肺高血圧症の病態を悪化させたり、効果が弱まる薬もあるため禁煙しましょう。