睡眠時無呼吸症候群(SAS)と高血圧

睡眠時無呼吸症候群の治療で、無呼吸と高血圧をコントロールしています。眠ている間に呼吸が止まる病気を、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と言います。

私はいびきが途中で停まると妻から聞いたのに20年も放置していました。実際に多くの人が放置していると言われています。無呼吸とは、10秒以上気道の空気の流れが止まった状態です。

睡眠時無呼吸症候群

無呼吸状態が、7時間の睡眠中に30回以上、または1時間あたり5回以上あれば、SASです。私の場合30回以上ありました。

寝ている間の無呼吸に気付くことが出来ない為、多くの潜在患者がいると思われます。睡眠中に呼吸停止が繰り返されると、寝ている本人は気付いていなくても、脳や身体に大きな負担がかかります。

睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状

自覚症状の感じ方には個人差があります。寝ている間のことは、ご家族に聞いて下さい。
では、日常生活を振り返り、チェックしてみましょう。

寝ている間チェック

・いびきをかく
・いびきが止まる⇒大きな呼吸⇒再びいびきをかく
・呼吸が止まる
・呼吸が乱れる
・息苦しい
・むせる
・何度も目が覚める
・寝汗をかく

起きた時チェック

・口が渇く
・頭がズキズキ痛い
・熟睡感がない
・寝起きが悪い
・身体が重い

起きている時チェック

・強い眠気がある
・だるい
・倦怠感がある
・集中力がない
・疲労感がある

私は一時期車の運転中に異様に眠くなる時がありました。この状態でバス事故を起こしたことが良く話題になりました。

睡眠時無呼吸症候群と高血圧

高血圧は、原因がわかっている二次性高血圧と、原因のはっきりしない本態性高血圧にわけられます。

二次性高血圧は全体の5%程度、あとの95%は本態性高血圧なのです。
本態性高血圧の患者さんが、SASを合併する比率は、約30~60%といわれます。

一方、SASの患者さんで、高血圧を合併する比率は、50~90%といわれています。
高血圧学会の診療ガイドラインでは、SASは二次性高血圧の原因疾患の1つに位置付けられています。

高血圧は、食事療法、運動療法、薬物療法を中心として治療が行われます。二次性高血圧は別の疾患に原因があるので、一般的な降圧薬が効きにくいのですが、原因となる疾患をうまく治療すれば血圧をコントロールできます。

治療はまず食事、運動療法から始め、改善が見られない場合薬物療法を併用しますが、薬物療法でも血圧がコントロールできない「治療抵抗性高血圧」という病態があります。治療抵抗性高血圧とSASは、高率で合併することが解っています。

睡眠時無呼吸症候群とCPAP療法

SASを合併していない高血圧の方は、生活習慣の改善や薬によってコントロールできます。高血圧がコントロールできていない方は、SASの検査を受け、SASを合併している場合SASの治療も行いましょう。

SASによって生じる高血圧の場合、適切にSASを治療すれば高血圧も改善します。SASを治療することで、無呼吸はもちろん高血圧が劇的に改善されたという方もいらっしゃいます。

SASの治療法は、CPAP療法を行います。CPAP療法でSASの治療を適切に行えば、無呼吸も高血圧もコントロールできます。放置しないで、専門の医療機関を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群を予防する

SASの患者さんの傾向

・喫煙
・飲酒
・習慣化している寝酒
・肥満
・暴飲暴食
・高血圧、糖尿病、高脂血症などの既往あり

SASの患者さんの形体的特徴

SASは、太った男性がかかる病気というイメージですが、痩せていても、女性でもかかる病気です。
顔や首まわりの形体的特徴が強く関係しています。

・首が短い
・首が太い
・首まわりに脂肪がついている
・下あごが小さい
・小顔
・下あごが後方に引っ込んでいる
・歯並びが悪い
・舌や舌の付け根が大きい

●SASだけでなく、どんな病気にも共通しますが、適正体重の維持が重要です。今SASでなくても、少しの体重増加がSASにつながる可能性もあります。
今肥満気味の人、治療中の人は、適正体重を目指すよう心掛けましょう。

●いつもはいびきをかかないのに、お酒を飲んだ日にはいびきをかく。
アルコールによって筋肉が弛緩するため、いつもはかかないいびきをかいてしまうのです。
アルコールは、無呼吸に陥るリスクを高めますので、習慣化している寝酒などは控えましょう。

●アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの症状がある場合は、口呼吸になってしまいます。口呼吸はSAS以外にも様々な病気と関係しますので、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

●睡眠薬の多くは無呼吸症状を悪化させますので、自己判断での服用は避けましょう。

●横向きで寝ると上気道の閉塞を軽減できますので、横向きで寝る工夫をしましょう。