高血圧ワクチンの副作用リスクと根本的な疑問

高血圧ワクチン

一度ワクチン注射をすると、数年効果が続く降圧剤が開発され、臨床試験がスタートするというニュースがあります。

20年も降圧剤を飲み続けてきた私にもよくわかるのですが、高血圧患者さんの悩みは、服用している「降圧剤」をなかなか止める事が出来ない事です。

降圧剤の服用は毎日なので、飲み忘れる場合も多いし、飲んだかどうかも分からなくなるといった薬の管理の杜撰さもあったりします。

そうなると、血圧は急上昇し、脳卒中などのリスクも高くなってしまいます。実際私の病院勤務時代に、降圧剤を止めていた時に脳卒中を起こして入院していた人が本当に多かったです。

その怖さを知っているので、飲み忘れたと呑気に笑ってもいられません。

一旦高血圧と診断されて降圧剤を処方されると、一生薬漬けで過ごすようになる可能性は非常に高いです。

しかし現在、そんな面倒な毎日を根本から一変させる、画期的な高血圧ワクチンの研究が進められているのです。


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高血圧ワクチンとは

高血圧ワクチンとは、正確に言うと高血圧DNAワクチンと呼ばれています。

高血圧DNAワクチンは、バイオベンチャーのアンジェスMGと大阪大学が共同開発中の新しいタイプの降圧剤です。

一度注射すると、年単位で降圧効果が持続するので、実用されると高血圧患者さんは毎日降圧剤を服用する事から解放されることになります。高血圧患者さんにとっては、まさに、夢の特効薬なのです。


免疫システムで血圧を下げるとは?

人間の体内には免疫システムが備わっています。ワクチン療法は体内に病原体などの抗原を送り込み、免疫システムによって病原体に抵抗する抗体(免疫)を生成し、感染症予防や治療をするというものです。

更に一歩進んだ治療法が、この抗原の遺伝子を注入する「DNAワクチン」で、未来のワクチンと呼ばれています。

今回オーストラリアで臨床試験が開始される高血圧ワクチンもDNAワクチンの一種で、現在、感染症、がん、アルツハイマーなどでも開発が進んでいます。

私たちの体内で、血圧を上げる作用を持つ「アンジオテンシンII」という物質が生成され、腎臓に作用する事で血圧が上昇します。

高血圧DNAワクチンは、アンジオテンシンIIを生み出すDNAとタンパク質を体内に投与する事で、免疫機能により抗体を生成し、血圧の上昇を防ぐというものです。

降圧剤との決定的な違いは、持続期間。降圧剤は飲むたびに、血圧を上げる物質を抑える対処療法なので、効果は短いです。それに比べ、ワクチン摂取の場合は、体内で抗体を維持するので、1回注射すると数年以上効果の持続が期待できると言われています

ネズミによる実験では、半年以上も効果が持続したという事です。これはネズミの寿命4分の1にあたります。

人間で言うと20年以上に相当するそうですが、単純に比較する事は出来ません。



高血圧ワクチンの副作用リスク

画期的な高血圧ワクチンですが、薬には副作用のリスクが伴うものです。

体内の免疫力が高まり過ぎ、アレルギーなどの自己免疫疾患になるリスクがある。*「高まりすぎる」というのは表現としては間違いです。異常に亢進した免疫反応というべきです。免疫力が高まるのは正常な場合のことです。
すべての高血圧に効くとは限らない。

降圧剤には、血管拡張作用タイプと、血液量の増加抑制タイプの2種類の薬があります。

高血圧DNAワクチンを注射しても、複数の種類の降圧剤を服用している患者さんは、全ての薬を止められるとは限らないようです。

2017年の半ばから約2年かけて最初の臨床試験が始まり、その後の大規模な試験を経て、早ければ約5年以内に実用化されるかも知れません。

ニュースでは高血圧DNAワクチンの事を、高血圧治療ワクチン、薬漬けから解放される夢のワクチン等と伝えられていますが、現実は合併症を防ぐ予防薬で、高血圧が治るわけではありません。

一生降圧剤を飲み続けると決心した人や、飲み忘れが多い人には最適と思われますが、高血圧を治したい人にとってはどうでしょう。生活や体質改善しても薬を弱めることはできません。

更に、高血圧DNAワクチンの降圧効果は免疫力に関係するので、ストレスや過労で血圧の変動が激しい方は、コントロールが難しくなるでしょう。



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高血圧ワクチンに対する根本的な疑問

ワクチンに限りません。降圧剤全般のことですが、今すぐに下げないと脳卒中の危険性のある人は例外です。

慢性的に高血圧の状態は望ましい状態ではありません。確かに高い圧力が血管の内壁を傷つけ動脈硬化を促進します。だから下げる必要がある。ここまでに異論はないんです。

疑問に思うのは、高血圧は体にとってよりよい状態として、ホメオスターシスがバランスをとった状態なのに、そのバランスを崩す治療をするのなら、根本的な原因を治すことが正しい治療です。高血圧ワクチンは対症療法もここに極まれりといったものだと思います。

血液の役割は体の隅々まで栄養・酸素・免疫細胞・体熱を運び、不要になった老廃物質を体のあちこちから排出のために集めてくるといったものですよね。

その働きが難しくなっているから、高血圧になって本来の機能を遂行しようとしているわけです。それなのに血圧を下げると、血液の役割が果たせなくなってしまうわけです。本末転倒の対応が降圧剤なのです。

問題にすべきは、高血圧ではなくて高血圧にしないと全身に血液が行き渡らない事の方です。それが太りすぎだったり、中性脂肪、コレステロールの問題だったりするわけです。

いつまでも降圧剤を飲むものだと患者も思ってますが、降圧剤が不要になるように治療するのが本来の医療の役割でしょう。

高血圧ワクチンで常に薬を飲んだ状態になる方が怖いと思うんです。血液が隅々まで行き渡らなくなって起こる問題にはまた別の薬を処方するんでしょうか。

これはいたちごっこであって、根本的な原因を解決しない限り、患者は被害者になってしまう懸念が残ります。

それだからこそ医者に任せきりにせず、医者を利用して自分の体は自分で守るという姿勢がほしいのです。

医者が治すと言っても、結局は本人が持つ自然治癒力を引き出してるに過ぎません。薬漬けになればそれすらできないことになります。

正常血圧の値も時代とともになぜか変遷して患者数は増え病院は繁盛しているのも疑問が残ります。結局どれが正常値かは定かではありませんし、個人差もかなりあるのだろうと思います。



大阪大学の森下竜一教授を中心として開発された高血圧ワクチン



2017年から、高血圧を治療するワクチンの治験をオーストラリアで始めるのは、遺伝子医薬を活用した治療ワクチンの開発を進める、バイオベンチャーのアンジェスMGと大阪大学の森下竜一教授。

大阪大学の研究グループが開発した高血圧DNAワクチンは、アンジオテンシンIIを標的とした新しいタイプの降圧剤です。高血圧DNAワクチンを高血圧ラットに2週間隔で3回接種した結果、

最長6カ月間の血圧低下が認められた。
高血圧に関する心血管組織の損傷が軽減した。
肝臓や腎臓などの損傷はなかった。



高血圧患者の服薬不遵守問題は、この高血圧DNAワクチンで改善できるでしょうし、アンジオテンシンII受容体拮抗薬などの降圧剤より安いといった利点もあります。
さらなる研究による高血圧の治療法に期待しましょう。

まとめ

従来の降圧剤と違い降圧効果の持続期間が長いことが特徴になります。

一度の高血圧ワクチン注射で数年以上の効果が期待できるようなので、高血圧患者さんの薬の飲み忘れは、改善されるでしょう。

2017年に豪州にて臨床試験が始まり、早ければ約5年以内に実用化されるかも知れません。


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