治療抵抗性高血圧の治療
治療抵抗性高血圧って耳慣れない言葉ですね。治療抵抗性高血圧は3剤以上の降圧剤を服用しても、目標血圧まで血圧が下がらない高血圧のことをいいます。
脳卒中、心臓発作、心不全、腎疾患などの心血管系リスクの増加と関連するため、非常に危険な慢性疾患です。腹周りに脂肪が多い人、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)の人に多く見られ、治療は降圧剤の使用と日常生活の改善で行います。
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血圧は、血圧計に数字として表示されるので、高血圧の人はいくら薬を飲んでいても不安感があります。30歳以上の日本人で、高血圧、あるいは降圧薬服用中の総数は男女計で約4000万人で、今後も増加にあるといわれています。(高血圧の数値が下がる傾向にあるので、患者は当然増えます。)
高血圧者の増加とともに降圧薬の種類も増え、日常生活でも高血圧管理が行われています。高血圧の中で、以下の2つに該当するものを、治療抵抗性高血圧といいます。
治療抵抗性高血圧の定義
1 降圧剤を3種類(うち1種類は利尿剤)以上服用しているが血圧のコントロールができていない。
2 血圧をコントロールできてはいるが、4種類の降圧剤を併用している。
治療抵抗性高血圧は、お腹まわりの脂肪が多い人、睡眠時無呼吸症の人に多く見られ、脳卒中、心臓発作、心不全、腎疾患などの心血管系リスクや早死にするリスクが増加します。
降圧薬について
最近の降圧薬はめざましく発展し、この10年の間に降圧薬の種類も大きく変わりました。現在、使用されている降圧薬は大きく4グループに分けられます。
1 カルシウム拮抗薬
2 アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
3 アルファ遮断薬(α遮断薬)、ベータ遮断薬(β遮断薬)
4 利尿薬
普通、この4グループの中から降圧薬を選び、組み合わせながら治療を行います。原則として同じグループの薬は組み合わせません。
ですから、どんなに下がりにくい高血圧の場合でも、最大4種類までの降圧薬しか使いません。薬の特徴を生かしながら、薬を組み合わせて、安定した血圧を目指すことになります。一つ飲んだら、誰でも血圧が安定するといった魔法の薬はありません。
治療抵抗性高血圧の治療
ある病院の調査によると、外来の高血圧患者の半数以上は降圧目標に達していません。
とくに肥満、糖尿病、慢性腎臓病を合併していると、目標血圧に達しない患者が多いことが分かりました。
治療抵抗性高血圧では2型糖尿病や腎不全、脳卒中などの発症率が高く、これらの合併症が起こると、降圧治療はさらに困難になるので、早期から降圧治療を行う必要があるのです。
治療抵抗性高血圧をコントロールする方法としては、
1 投薬計画と投薬戦略を最適化し、患者がきちんと薬を飲むようにする。
2 患者の塩分摂取量、飲酒量、運動習慣、体重など、改善の手助けをする。
3 閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の患者には、持続気道陽圧(CPAP)を用いて OSA を治療する。
4 現在使用している薬が効かない場合には、別の薬を追加する。
5 高血圧専門病院を紹介する。
ただしこの方法は、科学的なデータではなく、経験的な知見に基づくものです。治療抵抗性高血圧の患者さんは、3剤以上の降圧剤の使用、医師の指示に従った日常生活の改善(主に減量、運動、減塩、カリウム摂取などの行動や食生活)を行っていきます。
偽抵抗性の原因
治療抵抗性高血圧と思われるケースでも、実は、偽抵抗性による場合があります。
1 病院にいるだけで血圧が上がる現象
2 薬を指示された通りに飲んでいない
3 血圧の測定の仕方が悪い
この外、他の薬、食品、サプリメント・健康食品に影響され、降圧剤の効果が出ないケースもあります。 高血圧患者は、自分が使用している医薬品、サプリ等は全て医師に伝えなければいけません。
治療抵抗性高血圧だからといっても、血圧をコントロールできないわけではなく、高血圧の原因が判れば血圧をコントロールすることが可能です。