尿酸値が高いと腎不全を起こし悪循環が始まります
尿酸と腎臓は切っても切れない関係にあります。よくいう痛風は足の親指の付け根におこり真っ赤に腫れてとても痛い病気であることが知られていますが、関節に次いで沈着しやすいのが腎臓です。尿酸の結晶が腎臓内で徐々に蓄積していき、その働きを低下させます。これが「痛風腎」です。
尿酸値が高いと腎障害を引き起こす原因になってしまい、高血圧を招いてしまいます。
尿酸については痛風の原因として知られていますが、腎障害の原因になるので尿酸値には注意が必要です。
体内には常に一定量の尿酸が溜められており、その半分以上は日々入れ替わっています。
成人の男性でおおよそ1,200mlが体内に貯められていて、約半分の700mlが産生および排泄によって入れ替わっています。
腎臓から尿管、そして膀胱を通って尿とともに排泄されます。尿酸値が常に高いと排せつ機能が低下して、尿酸が排泄されにくくなります。
尿酸を排泄する機能の低下は、尿酸が高い状態が続くと腎臓のネフロンや髄室に尿酸が溜まってしまい尿を濃くする機能が低下することで起こってしまいます。
尿を濃くする機能が低下すると腎臓に余計な負担がかかり続けるため尿酸が排泄されにくくなります。このような悪循環が起こるため、尿酸がネフロンから排泄されないと腎機能への負荷がかかり続け腎不全を起こしてしまいます。
腎不全とは本来体の外に排せつしないといけない老廃物や毒素が体内に残るため尿毒症を引き起こしてしまうかもしれません。尿毒症は死の原因ともなるので要注意です。
血液検査で尿酸値が正常値よりも高い状態が続いている人は、腎不全(慢性腎炎)に注意しましょう。
尿酸の別の性質
尿酸値の高い状態を放置すると、腎不全になり尿毒症・高血圧の原因になると述べましたが、一方で尿酸は別の面も持っています。
尿酸は非常に強い抗酸化力を持つ物質です。その抗酸化力はビタミンCの6倍と言われます。だからむやみに尿酸値を低くすれ場良いものではないんです。
尿酸代謝は飢餓の状態では著しく高くなります。一般にビールを飲みすぎると尿酸値が高くなって痛風になるとか言われます。これは食物由来の尿酸のことですが、飢餓状態で高くなる尿酸は体細胞由来でできてきます。
尿酸には強い抗酸化力があって体を守っている面もあるので、血中濃度が上がったら下げるという単純な考え方だけでもいけないのです。
体細胞の分解がすすんでいるような状況は、脱水や過激な運動、酒の飲みすぎなどのように過剰な活性酸素が大量に発生している状況ですから、抗酸化力のある尿酸を少なくするのは問題です。こういった時に生じる尿酸は必要があって生じているのです。
ストレスが尿酸値上昇の原因になることについて
食べ物だけを尿酸値上昇の原因と考えていると本質を見誤ります。肥満、肥満気味、過食傾向のある人ではなくても、明らかに痩せ形なのに、尿酸値が高く痛風を発症していることがあります。
仕事のストレスや空腹、飢餓などを起こす行き過ぎた食事制限、精神的なストレスやなどで、顆粒球(免疫細胞である白血球の一種)が増えて活性酸素が発生します。この活性酸素が過剰になると組織を破壊するので細胞の核を構成しているプリン体(尿酸はプリン体が分解されたもの)も増えます。
尿酸が増えても循環がしっかりしていれば腎臓から排泄されますが、ストレスで循環そのものが障害されていれば排泄がうまくいかずに血中に溢れるようになってしまいます。だから心身のストレスを減らすことが食事よりももっと重要になるのです。